2013_05
02
(Thu)07:00

感情のかわしについて

合気道の神様と言われた塩田剛三のエピソードで
ある時、弟子に「合気道で一番強い技はなんですか?」と聞かれ
塩田氏は「それは自分を殺しに来た相手と友達になることさ」と答えたそうです。

健心流でもつねづね柔術で学んでいる術理は
宇宙の法則を体を通して学ぶことで、体術だけにとどまらず
その応用は仕事や、芸術、人間関係まで人に関わるすべての事に応用できるものである。
と考えております。

あるとき門下生の一人に健心流の第二奥義「〇面〇理」について
「これは人間関係でも応用できるはずだ」と話をしたことがありました。
しばらく経ったある日、その門下生の彼は興奮ぎみで「実践で使う場面がありました」と健心に話してくれました。

内容はこうです。
彼はある公の仕事をしております。そこに一本のクレームの電話がありました。
彼は昨日聞いた奥義を実践してみたそうです。
電話の相手は凄いけんまくで不平不満をぶつけて来たそうです
門下生の彼はその相手の言い分をききました。
おそらく十分に相手の言い分を聞いたことでしょう
その後彼は冷静に公の立ち場で相手をゆっくりと説得したそうです。
電話先の相手は最後には「貴方で良かったよ」と言って笑って電話を切ったそうです。

すごいです!
彼は実践で健心流の第二奥義「〇面〇理」をやってのけたのです。
クレームの内容は明らかに違う部所の管轄だったそうです。
普通であれば部所が違うからと言って他に回して終わるのでしょう。
おそらく電話の主は今までどこに電話をしても、たらい回しで無視されてきたのだと思います。

もはや正論ではなく感情が一人歩きしてそのやり場を求めていたのかもしれません。
だからといってその理不尽な感情のやり場を受け止めて相手をなだめ癒す立場となり
自分が我慢していたのでは今度は自分にストレスが溜まって根本的な解決にはなりません。

この技はかわしの術です。
相手から放たれたエネルギーをまともに受けることなくかわしてしまう術です。
かと言って自分が逃げるでも相手を無視するわけではありません。
相手の意も損なわずエネルギーの方向を変えるというものです。

強い風に向かって(傘なんか持って)進むことに似ています。面で受け止めて挑むのはロスが多いです
それより風を切って抵抗をなく進むほうが効率が良いです。

高まったエネルギーを抑えるにはそれを上回るエネルギーが必要です。
しかし力ずくで抑えたエネルギーは摩擦が生じ必ず遺恨が生じます。
感情をぶつけ合うことは互いに心が傷つくものです。

不本意で抑え込まれた感情は
今度は自分より弱い者を見つけて不満を解消しようといたします。
無理やり抑え込まれた感情は発散をもとめて違うところに矛先を変えるだけです。

感情のエネルギーには山と谷があります。
感情のエネルギーの極まる山の時には何を言っても無駄です。
必ず感情の山は過ぎ谷が来ます。
そのときです!
こちらの言葉で相手を動かすのは。
谷の時には少しの働きかけで相手は動きます。
それも、相手の意思で動くよう仕向けます。

この「間」(ま)が大事です。
頭で計算して計るものではないです。
勝手に体が感じて動く時がベストです。
理屈ではなく感じる時です。

「さーやれ!」と言われて出来るものではありませんが
必要な時に発現できるよう
稽古をするのです。


健心流は争わないことを大事とします。
争わないから負けません。
負けないことは最上級の護身です。

健心流「無敵」の極意です。
敵がいないほど強いという意味ではなく
あえて敵を作らないという意味で「無敵」です。