2012_06
25
(Mon)07:00

丹田について1

丹田(たんでん)は、内丹術で気を集めて煉ることにより霊薬の内丹を作り出すための体内の部位。下丹田は東洋医学における関元穴に相当し、へその下3寸(へそと恥骨稜の間を5寸とする骨度法による)に位置する。英語圏では、日本の禅僧によって坐禅瞑想が紹介された経緯から、下丹田を hara と呼ぶこともある
(「フリー百科辞典」ウィキペディアより)


さて丹田が修練されるとどのような状態になるのでしょう。
以下に示すのは一般的に言われている丹田の効用、効果です。

1.精神的な効用:落ち付きがある。肝が据わった人、器が大きい、動じない人
2.芸事、仕事、生き方全般の上達:知性や第六感などの発達
3.武道やスポーツ等の運動能力の向上:いわゆる達人
4.健康、美容の効用:病に対する治癒力が上がる。 

4番目の健康、美容等の東洋医学の気の世界観でいうところの丹田はまた別の機会とし
ここでは、少し具体的な武術的観点でみた丹田を取り上げて見たいと思います。


武術などで言われる「丹田」は「下丹田」のことであり日本では「ハラ」とも言われています。
場所はへその少し下のところで下腹の内部にあり、点ないし球状の部分と言われています。
その位置に丹田という臓器が存在しませんが、解剖学的には腸があります。

腸の消化活動そのものが上記1~4を生み出す丹田といわれる物の本質とは考えがたいです。
では丹田があるとされる周りはどうでしょう。

例えば
・骨(腸骨、仙骨、大腿骨、股関節、腰椎 ets ・・・)
・関節(仙腸関節、股関節、腰仙関節 ets・・・)
・筋肉(大腰筋、腸骨筋、大・中・小殿筋、上下双子筋、腰方形筋 横隔膜 腹筋 背筋 ets・・)

これらの骨、関節、筋は身体が伸展と屈曲をするために必要なものです。
体幹・下肢・呼吸の運動をする場合その中心となるのが丹田の位置で
丹田という座標軸が安定してあることで体の運動の制御がスムースになるものと思われます。
(腕や指先などの末端の運動であっても体幹が統一制御されるとそれらの運動の精度は上がると思います)

立つだけの姿勢保持だけでも人の脳はバランスを保つためにかなりの情報処理をしています。
複合した複雑な動きの場合、姿勢保持に費やす情報処理が少ないほど脳には余裕ができるということです。

つまり「丹田ができた体」とは、下腹に主観的に(感じる)意識しうる中心点を持ち
統一された筋運動が出来る運動精度の高い体だと言えます。

丹田は実質の臓器や器官でないとして、意識だけで効果が出現するものなのでしょうか?
経験のない人が丹田を意識しただけで達人になるとは考えがたいです。

個々の競技や術に関してそれにふさわしい動きを修練すると
その結果として動きに必要な身体意識(小脳の運動分野)が作られます。
動く際の重心の把握や運動の中心となる軸が定まり
運動を安定せしめる意識の置き所となる部分が生まれ
それが丹田と言われるところになるのではないでしょうか?

丹田を過剰に評価し、丹田が意識できたから万能な能力を発揮できると考え
その人の能力以上のものが出せるものだとして丹田を造るのを目的とするのは飛躍し過ぎます。
その人の内在する能力以上のものは出るはずがありません。

潜在する能力を発揮せしめるために精神の余裕や安定、脳の命令精度を上げる事が大切です。

何かの修練で丹田ができている人は、精神的に動じない(パニックを起こさない)素養があり
未経験のことに対しても冷静に自分の能力を発揮し対応する力があるといえます。


丹田は、術を極めることを目的に術をずーっと修練した人が
自身の能力を安定して発揮しうる人になった時、結果として備わっているものだといえます。


今後、回転軸、重心、意識、丹田レベルの評価、丹田が関わる動き、稽古法など考察したいと思います。

「丹田について2」続く