FC2ブログ
2012_07
05
(Thu)07:00

丹田について2

先の「丹田について1」では下記のような仮説で話を進めてまいりました。

丹田は実質の臓器や器官ではなく
術の修練の結果、運動精度の高い体にともなって出来上がる
運動時の座標軸にあたる意識の中心点。(以下「意識点」と言う)
丹田ができた人は自身の能力を安定して発揮できるようになる。


スポーツや武道を行う方が立っている姿勢をみて
いま重心が「高い」とか「低い」とか「丹田は今ここ」とか
表現することがあります。

見た目に感じる「重心?」「丹田?」この”あるもの”の位置はなんでしょう

競技によって運動の目的が異なるためでしょう”あるもの”の位置が異なるように思われます。

”あるもの”場所の差の大きそうな二つのスポーツを比較してみます。

1.体操
体操の床や跳馬の場合は空中のなるべく高い位置で回転運動を行なうことを目的とします。
走る際はつま先で伸び上がるように床を蹴って走り
その、”あるもの”の場所は位置が高く胸の辺りにあるように思えます。
(選手によっても異なりますが、あくまで健心の主観です)

2.スピードスケート
スピードスケートの場合はスケート靴の刃と氷の接触面を強く意識して押し進みます。
それで”あるもの”の場所は恥骨(股関節の高さ)辺りの低い所にあるように思えます。
(これも健心の主観です)

さて、選手達の見た目に感じる”あるもの”は、重心の位置でしょうか?



ここで少し重心について整理いたします。
重心とは、力学において、空間的広がりをもって質量が分布するような系において、その質量に対して他の物体から働く万有引力の合力の作用点。質量中心ともいう。
(ウィキィペディアより抜粋)

よくわからないので言い回しを変えて・・・

力学における重心は質量中心であるといえます。
物体は小さな分子で構成され、それぞれ重力が作用しています。
これらの重力が1点に集中して働く作用点を 「 重心 」 といいます。
密度や形状が変わらなければ物体の重心は常に一定の点です
縦にしたり横に置き変えても物体の重心の位置は変わりません。

また、ドーナツや脚立を広げた形のような場合
必ずしも重心が物体内部にあるとは限らず空間内に存在することがあります。

人が力み具合や意識では体重が変わらないように、
形を変えない限り重心の位置は動きません。

手を広げたりしゃがんだり形状が変わると重心の位置は形に伴い変化いたします。
以上が重心についてです。



さて問題に戻って
選手達の見た目に感じる”あるもの”は、重心の位置でしょうか?

答えは、力学的にはNOです。
”あるもの”と重心は異なります。

では「上ずっている」とか「どっしり安定している」とか
主観的にも客観的にも感じる”あるもの”の位置はなにか?


下のように健心が感じる”あるもの”の場所を上、中、下(矢印部分)と変えて写真を撮ってみました。
意識上中下1意識上中下2

1.胸を意識して立った時
2.みぞおちを意識して立った時
3.下腹を意識して立った時

この写真から分かることは
健心が意識する”あるもの”の場所を上、中、下(矢印部分)と変えるのに伴って
上半身の力み具合が変化するということです。(肩の高さや顔の表情まで変わっています)
左の横向きの写真では、頭の位置が骨盤に乗るように後方に変化しています。


さらに下の様に簡易的なモデルで再現してみました。
意識上下モデル
1.全体が均一な張力で立っている場合
2.上半分張りを失くして立っている場合

上半分張りを失くした形状は下に安定感(重さ)が生まれたように見えないでしょうか?

立っている姿勢をみて見た目に感じる”あるもの”の位置は
私たちが立った時、重力に対して拮抗して重さを支えるため力が入っている部分と
力を抜いてそれに乗るようにしている部分の境目ではないでしょうか?

上のモデルの場合は意識を持たない個体ですが外見として”あるもの”が出現したのです。
つまり、緊張部分と弛緩部分の質感の差が外見から感じ取られたものです。

人の場合の”あるもの”は、外見(質感の差)によるものと
その外見をつくる為の意識の操作があります。

武術的な丹田が”あるもの”と同じだとすると
丹田が主観的なものと客観的なものを持ち合わせるものとして在るのがうなずけます。


”あるもの”とは体の緩んだ状態とそれに伴う意識を反映したもので
上半身が十分に緩み、さらに意識が下がって体が力みなく自由に動ける状態になり
その”あるもの”が下腹部あたりまで下がって落ち着いたものを
武術的に言うところの「丹田」だと健心は考えます。  
 


ちなみに健心は胸まで意識を上げた状態を作って立ち(上ずった状態)
その後、力を抜かず外見(質感も含め)を寸分も変えずに意識だけを下丹田に下げることを試みました。
健心にはできませんでした。

形や姿、力の入り具合と意識点(丹田)はシンクロするようです。(健心の場合)




まだまだ丹田については回転と軸、精神との繋がり、丹田レベルの評価、丹田が関わる動き
稽古法などについても引き続き考察していきたいと思います。


「丹田について1」は : こちら

「丹田について3」につづく